東北6県の経済動向(2018年4月)

東北6県の経済動向が発表され、以下のような評価になっている。

東北経済産業局 管内経済動向

全体の動向:一部に弱い動きがみられるものの、緩やかに持ち直している

  • 鉱工業生産:持ち直しの動きとなっている
  • 個人消費:足踏み状態となっている
  • 住宅着工:高水準の中、ここのところ弱含んでいる
  • 公共投資:減少しているが、復興事業により引き続き高水準にある
  • 設備投資:緩やかに持ち直している
  • 雇用:改善している
  • 企業倒産:小康状態が続いている

「緩やかに持ち直し」という表現だが、詳細を見てみると鉱工業生産(特に「汎用・生産用・業務用機械」「輸送機械」「情報通信機器」)に光明が見えるものの、中期的な動きで見ると他は低迷していることが分かる。

特に、住宅着工・公共投資は震災前よりは良い状態にあるものの減少傾向にあることは明らかだ。企業倒産も「小康状態」という表現にはなっているが、緩やかに増加傾向にある。

個人消費も昨年途中まで好調だったコンビニの売り上げが頭打ち傾向にあり、小売販売額全体が低迷傾向にある。

この状況を「緩やかに持ち直している」と表現することが誤りとは言えないが、どちらかといえば「緩やかに悪化する傾向がみられる」という表現の方が妥当であろう。

 

2016年の中小企業景況見通し(日本政策金融公庫)

日本政策金融公庫のレポートで「2016年の中小企業の景況見通し」が発表された。

2016年の中小企業の景況見通し PDFファイル

この中に「経営上の不安要素」を集計したものがあるが、最も高いのは「国内の消費低迷・販売不振」、ついで「人材不足・育成難」、「原材料価格・燃料コストの高騰」となっており、他の不安要素を引き離している。特に「人材の不足・育成難」の比率は年々上昇傾向にある。

これに伴って「経営基盤の強化に向けて注力する分野」も「営業・販売力の強化」、「人材の確保・育成」、「販売価格の引き上げ・コストダウン」が上位を占め、こちらでも「人材の確保・育成」と回答する割合が増加傾向である。

東北の景気動向(住宅着工戸数の推移)

東北経済産業局から「<管内の経済動向> ~27年2月の経済指標を中心として~」が発表された。

住宅着工戸数が減少傾向にあるので気になっていたが、東北経済連合会で発行した「(東経連情報第2号)東北の景気動向(平成27年2月経済指標中心)について」というレポートにもう少し詳しいコメントが付けられていた。

これによると『東北7県2月の新設住宅着工戸数は4,622戸で前年同月比▲12.4%減少し、8カ月連続で前年を下回った。(中略)宮城、福島が前年同月比で減少、ほか5県が増加となった。(同レポートから引用)』となっており、宮城・福島の住宅着工戸数が減少傾向にあるとのことである。

このレポートに過去数年間の推移が掲載されているが、これによると平成25年度まで東北の住宅着工戸数は一貫して全国平均を上回っていたが、平成26年度からは全国平均と前後する水準にになっている。

東北の景気動向-住宅着工

「震災復興の一環として住宅再建はまだ伸びるのではないか」と思っていたが、これは意外な結果である。気になったついでに震災以降の住宅着工件数を分析したのが以下のグラフである。

東北の住宅着工戸数

政府統計の総合窓口(e-Stat)に掲載されていた数値(グラフ)をみると

  • 震災で被災した宮城・福島・岩手の住宅着工戸数が増加してきた
  • H25からH26にかけて、福島・岩手の住宅着工戸数は高止まりしている
  • H25からH26にかけて、宮城の住宅着工戸数は伸びている

ことが分かる。

更に、独自に集計にしたH27年度の宮城県の住宅着工戸数(24,476)を重ねているが、これを見るとH27年は「宮城県の住宅着工戸数も減少に転じ始めた」ことが分かる。

「復興はこれから」という報道も多いので住宅着工戸数はまだ伸びるのかと思っていたが、そろそろ復興バブルも縮小し始めることを意識しなければならない。