経済を回さなければ復興しないのだが

自粛が問題か?

「自粛しすぎるな!」...あちこちで言われているが、根本的には自粛が問題ではない。

今回の震災では直接的な被害を受けない地域でも、「モノが届かない」ことが発生している。これは、製造・流通・小売という輪のどこか、またはそれらを繋ぐ物流システムが震災を受けたことに起因している。

一時的に断絶した経済のつながりは少しずつ復旧しているもの、元の形には戻ることはなく、また、暫定対応で動いている部分も多い。このような状況下で一時的な好況に見舞われている企業もあるものの、全体的にみれば(震災の直接的な影響を受けていなくても)売り上げ減少や不安定な状況にある企業の方が圧倒的に多いだろう。

このような事象を通じて「経済がバランスを崩している」ことは誰もが薄々感じていることであり、経済活動どころか、消費活動も低迷して当然である。

このような状況を改善することなく、「自粛=悪いこと」というような発言が増えているのは、やや的外れである。

確かに、過度な自粛はあるものの、経済活動・購買活動を縮小しなければならない事態に陥っていることこそが問題なのである。

経済活動を支援する施策は?

昨日の首相会見でも「復旧から復興」という話があった。まさにその通りである。

では、それを進めるには何が必要かというと、経済を回す仕組みづくりではないかと思う。

現在、被災地の企業が活用できる政策が提示されているが、主なものは金融対策(融資)と雇用対策である。確かに、これらは必要なものであるが、次に必要なのが経済活動を支援する対策である。

経済産業省のホームページを見ても、このような経済活動を支援するような施策は非常に少なく、目につくものと言ったら、『東北地方太平洋沖地震の影響を受けた中小企業者に対する官公需における受注機会の増大等について』位だろうか。

また、現地の支援機関はここ1か月間、相談会オンリーである。年度末で予算がないという理由もあったかもしれないが、「相談したが具体的にどうしてよいか分からない」という意見もちらほらする中、年度が替わっても相談会以外の支援はストップされたままである。

復興にあたり増税論も出ているようだが、これはいかがなものだろう。被災地のみならず、国内各地で企業活動が縮小している中、これを打破するような思い切った施策を打ち出してほしいものである。

従前より、厚生労働省系の雇用対策には多額の予算がついているのに対して、経済産業省の予算は微々たるものである。この状況に至っては、こういったところも見直して欲しいところである。

経済支援の予算を増やせば、どこかを減らすことが必要になるだろう。それはそれで非難を受けるだろうが、それを決断するのが政治だと思うのだが、今のところ、そういった動きは一切見られない。