少子化対策
我が国の少子化対策として「異次元の少子化対策」なるものが国会で検討されている。
施策内容としては「育児手当の拡充や学童保育等の支援、働き方改革の推進」ということらしい。
また、この発表に先立って東京都は「18歳以下の子ども1人当たりに月5000円給付」を発表し、国の対策を超える取り組みとして評価する向きもある。
少子化の推移
少子化を示す指標として合計特殊出生率があり、右肩下がりの状態にあるということは周知のとおりである。
中長期的に見れば右肩下がりだが、ここ20年程の動きを「2005年~2015年」「2015年~2020年」に区切ると以下のようになる。
「合計特殊出生率は低下傾向」「昨年よりも悪化」というここ数年の事実だけが報道されているが、2005年~2015年は上昇傾向にあったことと、2015年以降に低下傾向に転じた原因はしっかり分析できているのだろうか。
特に、2015年は「アベノミクス新三本の矢」が発表されているが、この3本の矢の一つが子育て支援で、「合計特殊出生率1.8を目指す」が目標に掲げられたので、2015年からは子育て政策が充実して現在に至っている。
子育て支援を政策の大きな柱の一つとして力を入れながらも、合計特殊出生率が右肩下がりであったことは次のように分析するのが筋ではないか。
- 仮設1「子育て政策を充実させても合計特殊出生率は改善しない」 または
- 仮設2「子育て政策以上に合計特殊出生率を変動させる要因が存在する」
ToDoではなく仕組みづくりが必要
従来の子育て政策では「支給額が少ない」ことが少子化を招いた原因であれば、これを増額することは適切な対応と言える。
が、「子育て政策を充実させる前にも合計特殊出生率は上昇傾向にあった」「政策を充実させても合計特殊出生率は低下した」という2つの事実からみて、出生率を低下に展示させた要因は別なところにあると判断できるだろう。
昨今の政策は「何をするか」という目先のToDoが先行しているが、問題を悪化させている構造を正すことに取り組むべきだろう。