グループ化補助金は継続すべきか?

昨日、朝日新聞のグループ化補助金(中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業)の記事「被災企業再建のグループ化補助金、申請額が予算の3倍」が掲載された。

グループ化補助金では関東圏の中小企業診断士にも協力していただいたこともあり、「全国紙に掲載されている!」ということで各地から連絡を頂き、全国版にも掲載されていることを知った。

ざっと見た限りでは、この記事で主張したいことは以下のようである。

  • 競争率が高い割に予算が少なく、必要な企業に補助金がいきわたらない
  • 年度で予算を消化しなければならないが、復興が遅れている地域では年度内に予算消化できない
  • 経済産業省・厚労省の予算消化に対して、国土交通省の予算が進んでいないが、公共事業偏重の予算になりつつある

この記事を読むと、「政府が機能しないから復興が進まない」的なニュアンスが見え隠れする。「その主張はどうか?」と思うが、3つの視点は確かにその通りである。

補助金がいきわたらない?

どこでも言われている「グループ化補助金の予算が不足」、「補助金がいきわたらない」という話だが、この主張の始まりは「競争率が高いこと」を根拠にしている。

では、ここに申請している企業のすべてに補助金が行きわたることが、十分に行き渡った状態と言えるのだろうか。

 

申請できる企業と出来ない企業

確かにこの補助金に応募しようとする企業数は多いのだが、もう一つ考慮しなければならないのは、甚大な被害を受け、補助金のような資金を必要としているすべての企業が申請できる制度ではないということである。

なぜなら、グループ化補助金は単独企業ではなく、グループ単位での申請を条件としているからである。被災していてもこのスキームに載らない企業や、諸般の事情でアピール力のあるグループを組めない企業も多数存在する。

補助金の要件が「グループ単位」なので、「補助金の要件に合わないので仕方がない」という意見もあるが、実態としては「同一地区内で同じ目的で採択されたグループがあるために、後から申請したグループが採択されない」ということも起きている。

 

補助金の見直し

「グループ補助金に応募する企業が多いから、この制度を継続する」という論理も納得できる。

しかし、そもそもの目的が産業復興であるならば、グループ化補助金には申請できないが、復興のために公的な補助を要している企業にも目を向けるべきであろう。

また、現在のグループ化補助金は、被災した施設・設備の復旧金額を算出する際に、簿価ではなく、再調達価格で請求できるというメリットもある。しかし、「被災時点と同一の施設・設備」を要求されるために、設備の最新化・合理化には適さず、不要な施設・設備を冗長させかねないというデメリットもある。

グループ化補助金はここまで継続してきたことで、復興に大きな役割を果たしてきたのは事実である。が、その反面、克服できない問題も出てきている。「まだ まだ補助金を必要としている企業は多い」というのは事実なので、予算を積み増してグループ化補助金を延長するのではなく、これまでの課題を整理した新たな 施策を練り直してもよいのではないだろうか。

(なお、宮城県の場合、県独自の制度で1/2補助という制度もあるが、上限金額が低く、業種の制限もあるために、グループ化補助金程の自由度がないというのが実情である)