建設現場のプレハブ食堂から学ぶ(日経MJより)

日経MJの11月16日の一面は「ガテン消費 躍動」であったが、この中で建設現場を対象にしたプレハブ食堂が紹介されていた。

記事によると、運営するのはアサヒコーポレーション(東京)で、「出店すれば工事期間中の需要をほぼ独占できる」というメリットがあるとのことだ。

被災地ではどうだったか?

建設現場というと東日本大震災で被災した沿岸部も全く同じ需要が期待できた。

震災直後、これから工事が始まるという沿岸部を訪問した際に「これから工事が始まり、人もたくさん入ってくる。飯場もできるので、ここに向けた食事の提供は新たなビジネスチャンスである」というような声はあちこちで聞かれ、「弁当を提供する仕組みをどうするか」というような相談も何件か寄せられた。

が、実際に大手が入ってくる段になると、「業者が食事を提供するので、大きな需要は獲得できない」というあきらめた声が多かったのを覚えている。

では、日経MJで紹介されていた業者はどうかというと、「気にいられなければ全く相手にされないリスクはある」そうで、その対策として「料理は元有名割烹店の料理長の味付け」で、提供方法も工夫することで「提供スピードも磨き上げた」そうである。16年度の売上高は前年比4割増し以上の7億円以上になる見通しらしく、17年はこのノウハウで街中にも進出するらしい。

東北の被災地でもこのような工夫をした業者はあるのかもしれないが、私が知っている限りでは皆無で、「競合する業者が来るから、諦めよう」という淡白な対応が多かったように感じている。これは私自身も、「ここまで工夫すれば食い込めますよ」というアドバイスも知れおらず、私自身の対応も改善の余地があったと反省している。

東北の特徴?

「競合と差別化」と口にしながらも、東北の場合は「ぶつかりそうなら避けて通る」という対応が多い。

この記事を読み、震災直後から「弁当に取り組むことで、昼食需要を取り込む」と準備を進めながら、「飯場で給食が用意されるらしい」と聞いて詳しい調査もせずに弁当供給をあきらめた事業者さんの顔が浮かんできた。

今でも沿岸部の工事現場は多いが、コンビニが出店している地区では昼食需要はコンビニに握られているケースが多い。

駐車場からあふれるほどの工事車両をみて、「コンビニから需要を奪いましょうよ」という話をしても、意外と積極的にそこを攻めようとする事業者は少ない。

「手作りおにぎり」とか「暖かい手作り弁当」等の差別化手段を用いて勝負しようとせず、「コンビニにも工事車両がたくさん来るから、うちも昼食を出せば少しはお客さんが流れてくるかな」という消極的な話が多いのは東北人の気質であろうか。