統計情報から見るコーヒー市場

統計情報

日経MJに「侮れないコーヒー代」という記事が出ていたが、民間の統計調査によると

  • 毎月のコーヒー代の出費が4876円
  • 毎日コーヒーを飲む人が52%、週1回以上が78%
  • 年齢層が上がるほどコーヒーを飲む機会が増加する傾向

なのだそうだ。この毎月4876円という負担が大きいので、これが記事のタイトルになっている「侮れないコーヒー代」につながっているようだ。確かに、月当たりの出費が4876円となると負担は大きいと言えるが、コーヒー代の負担が大きいという以前に統計として偏りがあり、市場を的確にとらえていないのではないかという気がした。

そこで、統計局の家計調査という公的な統計も分析してみたのだが、それによるとコーヒー類に関する支出は

  • 年間支出が20~34歳が7849円、55~64歳が13497円
  • 年間の購入機会が20~34歳が32.5回、55~64歳が37.1回
  • 年齢が上がるほど支出金額、購入機会共に増加

だそうだ。

民間調査と公的統計から読みとれる市場特性

年間支出に着目すると、前期の民間支出とは大きな乖離がある。

が、ここで気になるのは購買頻度だ。家計調査も月間の購買頻度に着目すると、月当たり約3回の購買頻度で民間調査のデータ(週1回以上購入が78%)に近い値になり、民間調査も家計調査も大きな差はなくなるのだ。

そこで、1回あたりの購買金額を想定してみる。民間調査ベースの20~34歳で計算すると4876円÷30日=162.5円(仮に「平日の仕事中にコーヒーを購入するビジネスマンと仮定すると、4876円÷20日=243.8円)、家計調査ベースで7849円÷32.5回=241円となり、1回あたりの購買金額も大きな乖離はないといえる。

ここから何が言えるかというと、購買金額から見た場合、両統計共に同じ特性を持った市場を分析したといえる。ただし、月間の支出金額が大きく乖離しているが、これは購買頻度によるものと言える。

家計調査は我が国の平均像を示したものだが、今回の民間統計は「特にコーヒー好きな顧客層をより多く取り込んで調査」ということができ、市場のマニア層の姿を強くあらわした統計と言える。

マーケティング的にどこを攻めるか

コーヒー飲料は平均すると週1回購入するかどうかというのが日本人の平均的な姿のようだが、一部のマニアは同じような商品を毎日購入、つまり日本人の平均像の7倍以上も摂取しており、この層はかなりの割合で存在する。この層に向けたアンケートをとれたということは、この顧客層にアプローチすることも簡単なくらい、そこ顧客層は存在するのだろう。

この分析をしてから近所のスーパーに行ってみたが、コーヒー豆・インスタントの棚が7つ、コーヒー飲料を含めると8つで、調味料や乾物等の棚の数を大きく凌駕している。

だから、喫茶店もあり、コンビニのコーヒーもあり、自動販売機のコーヒーもありというくらいコーヒーが世間に溢れていることも納得できる。

顧客が多いから競争も厳しいといえるが、マーケティング的には今回の民間統計で現れたようなマニア層を取り込むことが大きなポイントと言える。