長時間労働と人材の成長機会

数年前から話題にはなっていたが、働き方改革の一環で長時間労働に関する規制が厳しくなった。

法改正後は月45時間・年360時間を原則とし、最大でも年720時間・単月でも100時間未満・複数月なら80時間が上限になるらしい(「働き方改革」の実現に向けて |厚生労働省)。

労働者の保護という視点ではこのような規制が必要であることは理解できるが、時間外も休日も関係なく無茶な要求へ挑戦してきた世代としては、成長機会が確保できるのかという点で心配な面もある。

例えば、『セブンイレブンのシステムを半年で作った男の「異常」なスピード感 』のような事例もある。

この事例ほどでないにしろ、常軌を逸した方法で修羅場を超えた経験は大きな成長につながる糧になる。健康を害するような長時間残業と同じではあるが、それでも振り返ってみれば「あの経験が、その後の成長につながった」と思い当たる経験を持つ人は多いはずである。

ちょうど今朝の日経産業新聞の「リーダーの肖像」に帝人ファーマ社長のお話が掲載されているが、24時間365日対応してきた時代の経験談が書かれており興味深く拝見したところである。

今はちょっとしたことでもSNSに不満を投稿したり、理由の如何に関わらず残業=悪と主張する人が増えたりで、こういう事が経験しづらくなっている。

労働者の健康を守ることも、コンプライアンスも重要なのは間違いないが、次代のエースを育てるためにこういう経験も必要である。「ほめて伸ばす」ことを強調する人もいるが、誰もがそれだけで成長し続けられるとは考えられない。「時代遅れ」と言われるかもしれないが時にはこのような経験も必要になると思うのだが、このような機会をどうやって作れば良いのだろうか?