テレワークの取り組み(2)テレワークの運用形態を考える

「どこで」よりも「何をするか」

 テレワークの運用形態として「在宅勤務・モバイルワーク・サテライトオフィス」の3つのパターンがある。それぞれの特徴は随所で紹介されているので、細かい話はここでは割愛する。「3つのパターンのうち、どれが良いのか」「3つのメリット・デメリットは?」という事が問われることがあるが、それは「テレワークで何をするか」で決まってくる。

在宅勤務自宅を就業場所とする形態
モバイルワーク移動中に業務をこなす形態で、移動先のカフェや駐車場などを活用する
サテライトオフィス事業所以外にテレワーク用のスペースを確保し、そこを就業場所とする形態

「情報システム担当者のためのテレワーク導入手順書(総務省)」より抜粋

空き時間で何をするのか、それはどこで行うのが適しているか

 テレワークの可能性を考える場合、まずは「短縮できる時間があるか」から考えると分かりやすいというのは前回の記事で記述したことである。そして、空いた時間に何をするかと言えば、単純に「その時間に会社にいればできる事をテレワークに置き換える」という考え方が良いだろう。テレワークを効果的に運用するためには「業務の見直しが必要」という事を主張される方もいるが、それはその通りである。ただし、最初から「業務の見直し」に取り掛かると、なかなか結果が出ないという事もある。最終的には業務の見直しを行うにしても、最初のとっかかりとすれば「今までできたものをテレワークに置き換えてみる」というアプローチの方が考えやすいのではないだろうか。
 短縮できる時間はいろいろあるだろうが、通勤時間を例にとると「出社時間を遅らせることで通勤ラッシュや渋滞に巻き込まれる時間を減らす」→「遅らせた時間はテレワークとして仕事をする」という運用が考えられる。出社前の時間をテレワークに充てるとなると、そこでできる事はメールチェックやスケジュールの確認、朝礼の実施等が考えられる。ここでテレワークでできそうなことが見えてきたら、「それを効率的かつ安全に行うには、3つの形態のうちのどれが適しているか」を考えるとよいだろう。「単なるメールチェックなのでスマホさえあればどこでもできる」のであれば、どのような形態でも構わないし、「機密情報を含んだメールをチェックするので人から見られないようにしたい」のであれば在宅勤務やサテライトオフィスが良いだろう。
 このように、まずは「短縮できる時間」を考え、次に「そこで何をテレワークに置き換えられるか」を検討し、「それをどこで行えば効率的か」を考えてみる。この時点では実現性や費用対効果までは吟味できないだろうが、「テレワークをどのように活用できるのか」というラフなプランを立てることは可能だろう。