知っていれば良かった、グループ化補助金(2)グループの形

東日本大震災のグループ補助金は「共同事業」を構築することが補助金採択の肝になっております。多分、これに関しては熊本でも同様の形になるかと想像しております。

共同事業の実効性を高めることが重要になるかと思いますが、計画立案以前に考慮しておいた方が良いことがあります。

1.グループにはどんなタイプがあるのか?

グループ補助金を申請するには、それに見合ったグループを構成する必要があります。東北の場合、初期段階ではある程度まとまりのあるグループが多かったのですが、回を追うごとに寄せ集め・こじつけグループが増えています。
大きな流れとしては、初期の頃は「サプライチェーンとしてまとまって復旧した方が良いと思われる企業体のグループ(以後、Aグループ)」が多く、その後、「商工会議所・商工会が中心となり担当エリアの企業で構成するグループ(以後、Bグループ)」が登場し、その後、「ここまでに入れなかった同業者同士によるグループ(以後、Cグループ)」が登場し、現在は、「経済的なつながりは薄いが共通性を作れそうなグループ(以後、Dグループ)」が増えています。
初期段階のAグループのあり方が本来の目的に合致したものではないかと思います。従来から事業上のつながりがあると、共同事業も効果的なものになり易い傾向があります。Bグループは地域コミュニティを構築するためには必要ですが、商売上のつながりは緩やかになります。どうしても「エリア内で希望する企業は全て申請対象にする」となってしまうので、やる気のある企業とそうでない企業、敵対する企業同士が混在するため、採択後のフォローで苦労することが増えてきます。また、Cグループ・Dグループは寄せ集め的な感があり、中には自分たちで汗をかくこともなく、「費用を払うので採択されるような申請書を作成して下さい」というスタンスのグループも存在しているようです。しかし、寄せ集め感があるグループだったのに、結果として被災前とは違ったつながりを生みだしたり、新たな価値を作りだしたりするグループもみられます。
グループが効果的なつながりを産むかどうかは、グループは支援者が役に立つ共同事業を策定できるのか、採択(見た目)を優先するかで大きく違っています。グループ化補助金を成功させるには、グループ構成企業のためになる共同事業を構築できる推進者、または外部の支援者を(できるだけ地元で)確保することが重要なポイントかと思います。

2.責任ある支援体制を構築するには?

採択だけを目的にしたグループを作らないためには、地元の支援者(公的支援機関、地元の民間支援者等)が計画立案に参画し、その後のフォローも行うことが重要です。コンサルフィーを目的にした支援者が関与すると、非の打ち所のない見事な計画書を作るものの実現困難であったり、参画した企業が参加意識ゼロのまま採択されたりするケースがあります。青天井のグループ補助金なので、「成功報酬10%~20%」を請求し、実効性の無い計画を作るというコンサルも存在します。主に遠方から来るコンサルに多いようですが、恥ずかしながら地元でもそういう姿勢の支援者も存在するようです。
民間コンサルの力を借りるのは良いことですが、企業の自主性を醸成し、その後の実効性を上げるには採択後も責任の取れる組織が申請支援を行うことが望ましいといえます。その一つの方法として、「公的機関が関与する」ということが挙げられます。なお、宮城県の場合は被災企業が多すぎることから公的機関だけでは支援しきれなくなり民間の力、地元以外の支援者が不可欠でしたが、被災規模が小さくなれば事業は違ってくるかと思います。