GoToトラベルは歓迎されているか
コロナの落ち着きと共に都道府県ごとに再開されているGotoトラベル。
サービスの分かりにくさや、旅行業者や宿泊業者の負担が大きいことから、あまり好評とは言えない。業者側から不評であったとしてもこれが経済の活性化に繋がれば良いのだが、経済効果という点でも疑問が残る。
経済対策の条件とは
コロナ禍においては「家計を応援する」ことも経済対策に含まれているようだが、Gotoトラベルのような施策は旅行業や観光業の活性化に繋がらなくてはならない。
これまで様々な経済対策の活用を現場で活用してきた側としては、産業活性化を目指した制度は以下の3つの条件を満たすべきだと感じている。
- 事業者が競って使いたがる
- 投下した額以上の効果があること
- 施策を使用した先に経済や産業の発展があること
GoToトラベルは条件を満たしているか?
GoToトラベルは前記の条件を満たしているだろうか。
「事業者が競って使いたがる」かどうかというと、これを使いたい事業者もいる反面、「煩雑なので使いたくない」「使ったことで業務が煩雑になった」等の声もあり、必ずしも誰もが使いたい制度とはなっていない。
「投下した額以上の効果があること」に関しては、「経済効果xx億円」等と言っているのである程度の効果はあるのだろう。これをキッカケに旅行をしたり、クーポン券を利用したりということが含まれているのだろうが、ちょっと気になるのは「出張で使えた」「最初から旅行するはずだったが、思いがけず割り引かれた」という声が聞こえてくる点だ。このような人はGoToがなくてもお金を使ったはずなので、「割り引く必要がない人の代金を割り引いた」ことになるので施策としてはマイナスといえるだろう。
「施策を使用した先に経済や産業の発展があること」が最も大事だと感じる部分である。
単に旅行をしたり、旅行先で飲食をするだけでは一過性のものである。この制度を通じて経営力が強化されたり、新たな顧客開拓に繋がっているかどうかなどが重要である。
前回のGoToでも「せっかくだからいつもは止まらないホテルに宿泊した」という声が多数聞かれたが、補助が出る時だけ宿泊するような顧客を宿泊させるよりも、補助がなくなった後もリピートする顧客を獲得する方が業者側としては効果的である。
宿泊業者の中には今までは提供していないようなプランを新たに開発して新規顧客の獲得につなげた事業者もいるが、割引クーポン目当ての顧客を一時的に獲得しただけの事業者も多い。これでは経営力の向上につながらないだろう。
これは事業者側に問題があるだけでなく、「長期的な効果が得られるような施策」を設計できなかった側の問題ともいえるだろう。