商店街の活性化~「たった三年」なのか

商店街の活性化に関して最近話題になっているのが宮崎県日南市の事例です。

たった3年でシャッター商店街再生! 市民の熱量を生み出し、戦略的にまちを変えていく、宮崎県日南市「地域再生請負人」の仕掛け | greenz.jp

この記事を読むと、4年間という期限付きで外部から招へいされた方が商店街活性化のエンジンとなったようです。

この記事は「たった三年~」となっていますが、商店街の支援に関与している立場としては、「たった三年で変革した」というよりも、「ここまでやっても三年を要する」という印象です。

 

商店街の活性化に取り組む場合、取り扱う「商品」や「販売促進」というマーケティング手法もさることながら、そこに属する店舗がどのようにして一体感を出すか、どのような協力体制を構築できるかという人的なつながりが大きなポイントになります。

その点から見て、その中核となる人材を外部から招へいし、その人がエンジンとなって活性化を進めるというのは理にかなった手法と言えます。

が、ここまでやっても、活性化には三年を要するのです。

公的な支援等で商店街支援を依頼されることも多いのですが、その多くが「年に3~4回の支援で活性化の方針を策定する」とか、「ブレーンストーミングで意見をあつめて、その結果を報告書にまとめる」というものです。

これでは支援終了後に成果物は残るものの、人的ネットワークの構築や能動的に活動できる体制の構築等には手が回りません。

このような事例が出てくると、「同じようなイベントを開催して活性化しよう」という安直な支援が増えるのですが、やはり日南市の成功要因は「商店街内外のつながりを強化することに注力できる人材を配置した」ことに間違いありません。

私の経験でも、複数事業を組みあわせて2年間・10数回の支援をした商店街が、四年目にしてやっと自発的に動きだす動きが出始めたという事がありました。地域コミュニティのあり方や、人間関係も関係してくるので商店街活性化にはある程度の時間が必要になると感じています。

日南市のように専任者を置くというのはどこでもできることではないのですが、「専任者が張り付いて三年」で出来たことを、「専任者を置かなくても、三年程度で活性化する手法」を編み出すことが支援側に課せられた宿題です。

 

関連情報:

中小企業庁:「はばたく中小企業・小規模事業者300社」・「はばたく商店街30選」2016

「がんばる中小企業・小規模事業者300社」及び「がんばる商店街30選」を選定しました(METI/経済産業省)